NASHとは?
NASHとは?
食べ過ぎ・運動不足などによって、余分な脂肪はお腹や内臓・特に肝臓などにたまっていきます。このように肝臓の細胞に中性脂肪がたまり、肝臓に障害が起きることは「脂肪性肝疾患」と呼ばれます。お酒を多く飲まれる方に多いイメージが強いかもしれませんが、実はお酒を飲まない方でも脂肪性肝疾患に罹ってしまう方がおり、特別にNAFLD(nonalcoholic fatty liver disease: 非アルコール性脂肪性肝疾患)という名前が付いています。
このNAFLDは、さらに
の2つに分類されます。このうち、後者の「進行性非アルコール性脂肪肝炎」がNASH(nonalcoholic steatohepatitis)と呼ばれています。 非アルコール性と言うものの、これは全くお酒を飲まないことではなく、アルコールの量が20g/日以下という基準になっています。また、ウイルスや自己免疫疾患などで肝臓に炎症が起きている方は除外されます。 炎症の「炎」の字が使われていることからわかるように、このNASHという病気では、肝臓で炎症が起きています。したがって、しっかりと治療することが必要な病気です。
どのくらいの人がNASHと診断されているの?
現在では、日本の人口の約1%の人がNASHであると考えられています。
どのような症状が出るの?
基本的に、あまり目立った自覚症状はありません。ときどき右の脇腹付近に違和感を感じる方もいらっしゃいます。
NASHの原因は?
NASHの主な原因としては、メタボリックシンドローム・肥満・糖尿病・脂質異常症・高血圧・高尿酸血症・睡眠時無呼吸症候群などが考えられています。
NASHの検査は?
血液検査では、肝臓が障害されていることを示すASTやALTの値が増加するほか、肝臓に貯蔵されている鉄を示すフェリチンが上昇することも知られています。病気が進行すると血小板の値が減少したり、繊維化を示すマーカーの値が上昇することも知られています。
その他超音波検査などでは脂肪肝と同じような画像が見られるほか、肝生検なども行われます。
NASHの治療は?
基本的にはカロリー制限と有酸素運動による体重管理を行うことが重要になってきます。特に確立された薬物療法はなく、病気の状態に応じてウルソデオキシコール酸やビタミンE・インスリン抵抗性改善薬などを用いることもあります。保険適用外ですが、スルフォラファンという成分が有効であることがわかっており、サプリメントを併用する医師もいます。
NASHは治るのか?
NASHの一番の問題は、肝臓が繊維化してしまっているか否かという点にあります。肥満や生活習慣が改善されない場合は悪化することもありますが、5年間でおよそ40%の人は状態が変わらず、20%の人は肝臓の状態が改善することが知られています。 5~10年の経過観察の報告で5~25%が肝硬変へゆっくりと進行することがわかっているほか、60歳以上の高齢者では肝臓での発がんが問題になることからも、しっかりと治療を行うことが大切です。
スルフォラファンはNASHを改善する可能性がある成分です。